2008 Fiscal Year Annual Research Report
戦国期・織豊期城下町の空間構造に関する歴史地理学的研究
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18720232
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
山村 亜希 Aichi Prefectural University, 文学部, 准教授 (50335212)
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Keywords | 戦国期城下町 / 織豊期城下町 / 景観変遷 / 景観復原 / 港町 / 空間構造 / 自然地形 |
Research Abstract |
平成20年度は、戦国期・織豊期城下町空間のデータベースに入力する情報を検討するための基本資料の収集を、東海地方において進めだ。基本資料とは、(1)各城下町の景観や旧地形に関する先行研究(論文・図書・自治体史)、(2)(1)の根拠とされる各種資料(中世史料・近世古地図・近世地誌類・発掘調査報告書・最新の発掘調査成果など)、(3)各城下町の大縮尺の現行の地図(地形図、都市計画図、地形分類図、空中写真)である。本研究課題の研究期間を通じて、全各地の戦国期・織豊期城下町に関するや研究状況についての情報を収集した。これらはその都度データベースに入力したが、まだ整理作業は終了していない。入力と整理の作業を完了させるために、研究期間終了後にも、当分継続してこの作業を行う予定である。 上記の作業を通じて、東海地方の戦国期・織豊期城下町の中では、港湾を付属させる城下町において、景観変化が顕著に見られることが確認・推定された。そこで、比較的豊富に景観復原に利用可能な資史料の残る駿河国清水・江尻(現静岡市清水区)を事例として選定し、その具体的な景観を時期毎に分けて復原し、それらの景観復原図を比較して、景観変遷過程を明らかにしたその結果、国期から近世にかけて、清水・江尻では地形にデリケートに対応する都市景観が段階的に形成され、とりわけ水際線と海を臨む台地上の開発が同時期に大きく進展したことが、この地の景観形成の大きな特徴であることが分かった。この成果は、中世都市研究14に論文として発表した。 このような研究課題を通じて判明した城下町の景観形成と微地形との対応関係については、著書『中世都市の空間構造』においても言及し、城下町を含む中世都市研究において微地形は単なる歴史の舞台以上に大きな役割を果たすことを主張した。
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Research Products
(2 results)