2006 Fiscal Year Annual Research Report
都市更新の地域的基盤に関するドイツとポーランドの比較研究
Project/Area Number |
18720233
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
伊藤 徹哉 東洋大学, 国際共生社会研究センター, 研究員 (20408991)
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Keywords | 都市更新 / 社会的・経済的基盤 / 民間投資 / 再開発 / 景観調査 / ポーランド / ドイツ |
Research Abstract |
本研究は、既存ストックの再生を目指す公的な都市更新事業が実施されるとともに、市場原理による住宅への再投資が進むドイツ・ミュンヘン、および1990年代以降に市場主義経済のもとで都市更新が進められているポーランド・ポズナニを事例として、都市の形態的・社会的変容という観点から、都市更新の持続的な展開に必須となる地域的要因を明らかにすることを目的とする。 本年度は、8月にドイツとポーランドにおいて現地調査を実施し、まず,ドイツの都市衰退地域における社会・経済的変容に関するデータを収集するとともに,事例地区での居住者に対する聞き取り調査を行った。また,ポーランドでは,ポズナニ大学地理学科チェズ教授より調査協力を得ながら資料収集を進め,ポズナニにおいて地理(空間)情報のデジタルデータ(GISデータ)および社会・経済構造に関する非集計(非デジタルデータ)統計資料を収集するとともに,中心市街地において景観調査(土地利用調査)を実施し,建築物高度と店舗構成に関するデータを収集した。 まず,ミュンヘンにおける小地域での社会・経済的な変容を分析すると,建物の老朽化や人口高齢化の進展する地域であっても,低家賃物件が多く,また市中心部への近接性が高い場合には,外国人を中心として流入人口が発生するため,人口が維持され,小規模小売店舗なども残存し,街区レベルの地域経済も維持されている。 また,ポーランド・ポズナニ市は社会主義時代には首都ワルシャワからみて遠方に位置しており,経済的にも縁辺部におかれていた。しかし,いわゆる東欧革命後,1990年代前半以降になるとヨーロッパ経済の中心であるドイツとの近接性が高まり,ドイツをはじめ,イギリスやアメリカからの投資先として注目されている。ポズナニ市投資促進局での聞き取りでも,担当者より当市は(a)立地位置,(b)交通,(c)地域市場,(d)インフラ,(d)高い人的資源からみてポーランド国内でも優位性が高く,投資先として魅力的であるとの説明を受けた。景観調査を実施したところ,中心市街地では4〜5階建ての歴史的建築物の割合が高いものの,近年の民間投資による大規模開発で建設された10階建て以上の建築物も数多く確認できた。
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Research Products
(2 results)