Research Abstract |
本研究は,公的事業とともに,市場原理・投資に基づいた中・長期的な形態 本研究は,既存ストックの再生を目指す公的な都市更新事業が実施されるとともに,市場原理による住宅への再投資が進むドイツ・ミュンヘン,および1990年代以降に市場主義経済のもとで都市更新が進められているポーランド・ポズナニを事例として,都市の形態的・社会的変容という観点から,都市更新の持続的な展開に必須となる地域的要因を明らかにすることを目的とする。 平成19年度においては,7月31より8月17日の期間,ドイツとポーランドにおいて調査を実施した。ドイツのミュンヘン市およびポーランドのポズナン市において大学図書館ならびに官公庁で資料収集を実施するとともに,事例地区において土地利用調査と住民に対する聞き取り調査を行った。 まず,ミュンヘンでは市統計局を訪問し,1990年代の外国人の転出・転入に関するデータを確認するため,最新の統計年鑑(印刷物)を入手した。また,近年における都市開発の核心となっている中央駅に至る鉄道跡地の土地利用調査し,その結果,公共施設や民間のオフィスビルが建設されていることを確認した。次に,ポズナン市において,資料収集を行うとともに,ポズナン市都市開発局都市更新担当者と面談し,聞き取り調査を実施した。その結果,(1)ポーランドでは更新事業を主たる目的とする法律が未整備あり,(2)更新事業の全体計画策定,道路や公共施設整備が市の担当であり,(3)EU構造基金や国からの助成金を利用して,橋建設や道路整備を進めている,という点が明らかになった。さらに,事例地区住民への聞き取りにより,住宅更新の進む都心地域への若年者層の転入指向があることが判明した。
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