2006 Fiscal Year Annual Research Report
ナイジェリア・イボ人移民による擬制的王制の創造に関する研究
Project/Area Number |
18720237
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松本 尚之 東北大学, 大学院・文学研究科, 専門研究員 (80361054)
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Keywords | 文化人類学 / ナイジェリア / イボ社会 / 民族誌 / 移民研究 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ナイジェリアの都市部でイボ人移民たちが故郷の文化を模倣して創造した擬制的な王制の調査を行い、アフリカ社会において王の地位が持つ今日的な意味を考察することにある。 当初の予定では、ケーススタディを行う調査対象都市としてナイジェリア国内を設定し、今後の研究計画のための予備的調査を行う予定であった。しかしその後の情報収集の過程で、擬制的王制の創造現象がナイジェリア国内のイボ人移民社会のみならず、世界各地のイボ人移民社会にまで拡大していることが明らかとなった。そのため調査対象をイボランド出身の国際移民社会にまで拡大し、その予備的調査として日本(首都圏)のイボ人移民社会を対象とした調査を行った。 これまでの聞き取り調査によって、擬制的王制の創造現象は中国や韓国、日本など東アジアのイボ人移民社会でも見られることが判明した。現在、日本にはおよそ1万人のアフリカ系外国人が住んでいるが、彼らの出身国をみるとナイジェリア出身者がもっとも多い。そして在日ナイジェリア人の多数派を形成しているのがイボ人たちである。首都圏だけでもイボ人たちが設立した同郷団体が多数有り、同郷者間の相互援助を行ったり、毎年祭りを開催したりと、精力的に活動している。平成18年にはそれら同郷団体の一つが開催した祭りの席で、移民の一人がエゼ・イボ(イボ人の王)に名乗りを上げ、擬制的王制選出をめぐる議論が今まさに進んでいるところである。しかし日本在住のイボ人移民たちの間でもエゼ・イボ制度に関する意見は分かれており、今後の展開が注目される。 19年度以降の研究では、引き続き日本のイボ人移民社会における擬制的王制創造の動きを追うとともに、すでに擬制的王制が生まれて10年以上が経過しているナイジェリアのラゴスにおいてフィールド調査を行う予定である。
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Research Products
(2 results)