2006 Fiscal Year Annual Research Report
ニヴフ民族の口承文学資料の再検討と生活史における位置づけの研究
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18720240
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
丹菊 逸治 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 研究員 (80397009)
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Keywords | ニヴフ / 口承文学 / 生活史 / 言語学 / サハリン / ロシア連邦 / 少数民族 / 消滅の危機に瀕した言語 |
Research Abstract |
11月までの国内調査・作業によって、B・ピウスツキおよび服部健の筆録資料の概要を確認した。ピウスツキ資料のゼロックス版は判読が困難であり、おおよその内容のみ確認できた。服部健の筆録資料に関しては、北海道網走市北方民族博物館で整理が進められており原文資料を確認できた。すでにいくつかの関連資料に関して研究代表者は同館の担当学芸員と共同調査を行った。今後可能であればより協力を深めたい。また、複数の過去の研究者による録音資料のテキスト化の予備作業を行った。なお、北海道開拓記念館の水島未記氏採録による最近の調査資料に関して、共同作業を行った。調査地域が重なるのでこちらに関しても今後協力体制をとっていきたい。 国内調査の結果を受けて、1月26日〜3月14日にロシア連邦(アムール・サハリン地域)にて海外調査・作業を実施した。アムール地域(ハバロフスク州)では、ニコラエフスクにてニヴフ語話者からの生活史に関する聞き取り調査を行い、またニヴフ語学者である故マリア・プフタ氏の資料に関する新たな情報を得た。ハバロフスク近郊では、ニヴフ人話者に関する情報を得た。サハリン地域(サハリン州)では、北部ノグリキにて、生活史に関する聞き取り調査を行い、また高橋盛孝筆録ニヴフ語資料の整理を行った。当時の協力者の遺族の方々(ニヴフ語話者)の協力が得られた。滞在中に同資料のニヴフ語の分析が終了したため、背景となる生活史に関する聞き取りも行った。 ユジノサハリンスクでは、ピウスツキ資料の整理を開始した。V・サンギ氏・アウステルリッツらによる録音資料の整理も行った。同時に州立博物館および同館内ピウスツキ研究所にて、クレイノヴィチ採録によるニヴフ語資料に関する新たな情報を得た。また、新たに発見されたピウスツキ採録資料に関する情報を得た。資料整理に関しては、在野のニヴフ語研究者らの協力を得ている。ピウスツキ資料の整理は開始したばかりであり、今年度以降も継続する予定である。
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