2006 Fiscal Year Annual Research Report
ポスト社会主義・エチオピアの土地政策と土地利用実践の再編過程に関する実証研究
Project/Area Number |
18720241
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松村 圭一郎 京都大学, 大学院人間・環境学研究科, 助手 (40402747)
|
Keywords | ポスト社会主義 / 土地政策 / 土地利用 / 土地所有 / エチオピア |
Research Abstract |
本研究の目的は、ポスト社会主義期エチオピアの最大の懸案となってきた土地所有体制について、国家の土地政策とローカル社会での土地利用実践とがどのような相互作用のなかで再編成されてきたのか、その過程を実証的に明らかにすることにある。初年度である平成18年度は、約2ヶ月間のエチオピアでの現地調査をもとに、(1)土地制度をめぐる国内外の議論の推移に関する資料収集、(2)農村部での土地利用実践の変遷過程についての現地調査の2点について重点的に調査・分析を実施した。(1)については、社会主義期以前におけるエチオピア帝政政府の土地政策を明らかにすることをめざして、1950年代〜60年代を中心とした旧内務省のアーカイブ資料の収集と分析を行い、土地測量と土地登記という政策が社会主義期以前にも全国的に計画・実施されながらも、さまざまな困難から実効性をもつに至らなかったことが明らかになった。この点は、ポスト社会主義期のエチオピアの土地政策を、社会主義期以前の土地政策との関連性のなかでとらえていくための重要な知見である。また(2)については、現地調査によって、現在オロモ州で進められている土地測量と登録証発行の具体的な実施経緯の聞き取り調査を行い、100戸あまりの登録証のコピーを入手することができた。平成19年度には、この資料をもとに1990年代初頭の資料との比較分析を行うことで、ポスト社会主義期の15年あまりのあいだに農村社会が経験してきた変化を抽出することを目指す。
|