2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18720248
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Research Institution | National Museum of Japanese History |
Principal Investigator |
青木 隆浩 National Museum of Japanese History, 研究部, 准教授 (70353373)
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Keywords | 清酒製造業 / 酒造出稼ぎ人 / 南部杜氏 / 越後杜氏 / 下野杜氏 |
Research Abstract |
本年は, 酒造技術の継承方法と現場労働の実態を把握するため, 栃木県をおもなフィールドとして, 南部杜氏・越後杜氏・下野杜氏(地元杜氏)の比較調査をおこなった。具体的には, 南部杜氏から下野杜氏への継承については宇都宮市の宇都宮酒造株式会社を, 越後杜氏から下野杜氏への継承については佐野市の第一酒造株式会社を, そしていち早く地元労働力のみの酒造りを実践して全国的に注目を集めたさくら市の株式会社せんきんと下野杜氏のリーダー的存在である真岡市の株式会社辻善兵衛商店を事例として, 酒造りの現場を見せていただくとともに, 技術の習得方法や労働形態の変化などについて教わった。 また, 栃木県産業技術センターに訪問し, 県職員による酒造家への技術指導の様子やとちぎ酵母の開発過程, 栃木県独自の酒造好適米である「とちぎ酒14」の特徴や普及状況についても教わった。同センターでは, 新酒の出来を確認するためのきき酒会や研究会にも参加させていただき, 技術指導の様子を体験することができた。 また, 栃木県酒造組合では, 酒造家と農家の契約栽培や南部杜氏・越後杜氏・下野杜氏の割合などについて教わった。 さらに, 昨年度に引き続き埼玉県入間市の入間市博物館所蔵「友野家文書」を調査し, 明治時代から昭和初期にかけての税務署と酒造組合による技術指導の様子や品評会の成績, 酒造りの労働編成などについて調査をおこなった。これにより, 酒造技術や酒造労働の長期的な変化, 地域的な違いなどを検討することができた。
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