2006 Fiscal Year Annual Research Report
現代アフリカ農村における「開発」と「文化」をめぐる社会人類学的研究
Project/Area Number |
18729002
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Research Category |
Grant-in-Aid for Special Purposes
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
石井 洋子 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 非常勤研究員 (30431969)
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Keywords | 灌概開発 / 国家政策 / ギクユ人 / ケニア山南麓 / コメ / 契約農民 |
Research Abstract |
本研究は、1995年より開始したケニア共和国中央部のギクユ人地域における継続調査と位置づけられる。これまでの研究は、ケニア山南麓に展開する灌漑開発計画の発展に焦点を合わせ、とくに国民国家成立以降(1963年〜)の歴史的事実と地域社会の関係の解明に力点を置いてきた。本研究課題の第一年目となる平成18年度は、同地域での聞き取り調査を続行すると同時に、従来の調査地から30キロほど西側に位置するケニア山の森林地帯周辺の調査を開始する。それは、同じ民族集団であるギクユ人と開発政策の一環である自然保護、森林政策との関わりについてである。フィールドワークは、2月25日〜3月16日に行われ、下記の調査項目の再検討を行った。1.政策変化(キバキ新政権への移行と開発政策の変更)と農村社会への影響(世帯調査より生産物の販売自由化にともなう販売先の選択と実践、態度や意見の収集など)、2.経済変動に対応する新たな社会関係の描出(変動に伴う『危機』を克服する村人の相互扶助の実践とその影響力)、3.国家政策と地域社会の視座を確立する先行研究の整理(経済自由化に伴う経済破綻と灌概事業区入植者へのインパクトを世帯調査によるコメ搬入状況から見る)等。同国に立脚する複数の開発政策に関する調査は、政策をめぐる現地政府と地域社会の関わりを立体的に捉える上で不可欠な作業であることが再確認された。
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