2008 Fiscal Year Annual Research Report
裁判所における事実認定及び手続的判断に関する法制の日本と英米の比較研究
Project/Area Number |
18730012
|
Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
溜箭 将之 Rikkyo University, 法学部, 准教授 (70323623)
|
Keywords | 英米 / 法 / 裁判 / 裁判所 / 手続 / 事実認定 |
Research Abstract |
本年度は、平成20年8月よりイギリスにおける海外研究に入り、ケンブリッジ大学における資料収集や裁判所における調査を開始した。昨年度までの関心を継続し、イギリスの差止め、とりわけ日本の保全処分に対応する手続に関する研究をおこなっている。ケンブリッジ大学法学部で民事訴訟法を講ずるニール・アンドリュース氏の助言を受けつつ、広い視野での文献調査を必要な限りでほぼ完了し、英語による論文執筆を進めている。残念ながら本年度中の公表はかなわなかったが、来年度の早い時期に、ケンブリッジ大学法学部でプレゼンテーションを予定している。またそこでの反響を織り込みつつ英文雑誌への投稿も近いうちに行える見通しである。 裁判所での調査も、アンドリュース氏に加え、ケンブリッジ大学元法学部長で、現在高等法院裁判官のジャック・ビートソン氏の助言・助力を得つつ行っている。研究対象の絞込み、具体的にはアプローチすべき裁判所、そこで入手できる資料の見極めに予想以上に手間取り、こちらは二年間の滞在予定のイギリス海外研究の終盤にまでかかる長期的な調査とならざるを得ない。残念ながら、こちらの面でも成果の公表はかなわなかった。 アメリカに関する研究は、相対的に比重が小さくなった。しかし、こちらでの図書館やオンラインのデータベースによる調査は継続している。とりわけ、イギリスでの展開と対比しながらアメリカの状況を調査してゆくと、英米法とひとくくりにできない対照的な司法・民事訴訟像が浮かび上がってくる。こうした観点から論文の構想を練っているが、こちらも長期的なものとならざるを得ない。 研究環境の変化などの要因があったとはいえ、最終年度に成果として論文を公表できないのは、忸怩たるものがある。しかし、近いうちに成果の公表につながる研究が着実に進んでいることは、強調しておきたい。
|
Research Products
(1 results)