2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18730024
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Research Institution | Nagoya Gakuin University |
Principal Investigator |
西土 彰一郎 名古屋学院大学, 経済学部, 講師 (30399018)
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Keywords | メディアの融合 / 放送の自由 / 表現の自由 / メディア市場 / 再送信制度 / マスメディア集中排除原則 / 視聴率モデル / ジャーナリズム |
Research Abstract |
メディアの融合が唱えられるなか、従来、表現の自由の法理に定位して構築されてきた放送法制に対し市場の論理をどのように挿入すべきかが問題となっている。こうした問題意識をふまえ、本研究は表現の自由と経済的自由のいずれかに収斂されえない独自の基本権としての「放送の自由」の構成を主要目的としている。 この目的に即して、平成18年度はまず、視聴者の自由、放送事業者の自由、そして伝送施設者の自由がそれぞれ絡み合う、その意味で表現の自由と市場の論理の機能的結合が問題になる有線放送での再送信制度について主にドイツでの議論を参照しつつ考察し、「メディアの自由における機能分化の位相」を完成させることができた。そこでは、主観的表現の自由から客観法としての放送の自由論への転換の必要性を呈示できたのではないかと思われる。 次に、以上の研究で得られた放送の自由論の一般的知見を展開すべく、表現の自由と市場の論理が鮮明に交錯するマスメディア集中排除原則についての分析に着手し、現在も続けているところである。独占禁止法とは区別されるメディア領域独自の市場法制の意義と可能性という視点から、現行のマスメディア集中排除原則の問題点を整理しつつ、いわゆる「視聴率モデル」の検討を行っている。 またそれと並行して、安易に市場の論理に錨着させないためにも、戦後憲法学が放送の自由を表現の自由にのみ定位させてきた意義を明らかにする研究を行い、2007年5月12日開催予定の全国憲法研究会で「メディア環境の変容と表現の自由」という題目で報告することになった。
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Research Products
(2 results)