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2006 Fiscal Year Annual Research Report

国際司法裁判所の「固有の権限」論

Research Project

Project/Area Number 18730033
Research InstitutionSiebold University of Nagasaki

Principal Investigator

岩本 禎之 (李 禎之)  県立長崎シーボルト大学, 国際情報学部, 講師 (20405567)

Keywords国際司法裁判所 / 固有の権限 / 手続裁量 / 提訴
Research Abstract

本年度は、「固有の権限」を根拠とし得る国際司法裁判所の裁量行為のうち、「訴訟進行に関わる裁量」について、その行為類型を整理し、関連する判例および訴訟記録を分析・評価した。その際、判例から仮説的に抽出した行為類型である「職権的な訴訟の終了」(訴訟打切り命令)及び「当事国への差し戻し」を、提訴手続との関連で整理し、それぞれにつき分類の妥当性及び「固有の権限」との関連性を精査するという方法を採った。
まず、訴訟打切り命令に関しては、その根拠として(1)明白な管轄権の欠如と(2)提訴手続の不存在(英国型のムートネス)(3)「よき司法運営の確保」に分類することが可能であった。そして、これら類型に属する事例の分析から、裁判所は手続裁量を、管轄権の存否しいては当事国の意思との関連で慎重に行使していることが明らかとなった。ただし、これら手続裁量の行使は、直接に「固有の権限」によって根拠付けられねばならない理論上の必然性はなく、裁判所規程36条6項や同規程48条により根拠付けをはかる学説も有力であった。この点において、「職権的な訴訟の終了」であるが、管轄権の不行使に該当する事例(北部カメルーン事件及び核実験事件)は区別されるべきである。これらは当事国意思から離れた司法適切性の考慮による裁量行使の事例であり(米国型のムートネス)、本来的な意味において「固有の権限」の機能する範囲であるように思われる。なお、「訴訟当事国への差し戻し」においても、同措置は裁判所が同意原則の内実化を試みた措置であったと位置付け可能であるが、「固有の権限」をその根拠とするか学説上も一致しないことが確認された。こうした理論の射程に関する問題は、「固有の権限」を如何に概念規定するかに依存しており、理論的整理の段階で再度考察する(平成20年度)。

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Published: 2008-05-08   Modified: 2016-04-21  

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