2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18730034
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
山田 卓平 神戸学院大学, 法学部, 助教授 (00330415)
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Keywords | 国際法 / 国家責任 / 緊急避難 / 緊急状態 |
Research Abstract |
平成18年度は、国際法上の緊急状態理論について、主に、1)理論的系譜と現代における課題、2)国家実行の研究についての作業を行った。 前者に関する研究については、平成18年5月の国際法学会春季大会(岡山大学)で報告をし、その内容は、「国際法における緊急状態理論の歴史的展開と実証性-武力行使への適用可能性の問題を中心に-」国際法外交雑誌105巻3号24-45頁(2006年11月)として公表が許された。この論文は、19世紀以来の緊急状態理論の展開を素描し、時代とともにその内容に変容が見られてきたことを証明するものである。 後者については、「敵対武装集団掃討のための越境軍事活動と緊急避難理論-北イラクにおけるトルコの行動を素材として-」神戸学院法学36巻2号135-164頁(2006年12月)として公表した。この論文のテーマは、上記の「変容」の一つである「武力行使への不適用化」が、現代の国家実行において実証されるかどうかである。素材としては、トルコによる北イラクへの度重なる侵攻を選び、トルコはもとより、米国、英国、その他アラブ諸国などの態度を分析した。 また以前より進めていた国際裁判例の研究については、「国際法上の国家責任論における緊急避難-国際裁判例の検討を中心として-」浅田正彦編『安藤仁介先生古稀記念 二一世紀国際法の課題』(有信堂2006年7月)223-249頁として公表された。この論文では、緊急状態理論について判示したと主張されることのある17の国際裁判例をそれぞれ分析した。
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