2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18730045
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
安田 拓人 大阪大学, 法学研究科, 助教授 (10293333)
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Keywords | 量刑 / 社会的影響 / 被告人の性格 / 所為との比例性 / 一般予防 / 責任刑 |
Research Abstract |
本年度は、本研究の最初の年度であるため、申請書に記載の通り、ドイツ連邦共和国マックス・プランク外国・国際刑事法研究所に夏期休業期間を利用して、1ヶ月滞在し、基礎的な文献の網羅的な収集に努めると同時に、この問題に関する専門家である、ハンス・イェルク・アルプレヒト所長・教授より、ドイツにおける議論状況につき、丁寧な教示を頂いた。その中でも、重要な意義が認められたのは、Tatproportionalitaet(所為との比例性)の原則に関する教示であり、この原則は、責任刑の観点から、重要な基礎をなすものと思われ、同教授より紹介された文献を参考にして来年度以降さらに分析を深めたい。 また、本年度は、本研究の第1段階として、一般予防と量刑の関係の分析を開始しており、相当量の文献研究の結果として、責任の上限領域に関しての一般予防的考慮は、責任刑を上回る量刑を可能とする形で行われるべきではなく、責任刑を科せば得られるであろう一般予防効果で満足すべきではないか、との一応の結論を得るに至っているが、来年度以降、なお検討を進めたい。 そのほか、これも申請書に記載の通り、刑事部の部長および右陪席裁判官で構成される大阪刑事実務研究会に、研究者側オブザーバーとして可能な限り参加させて頂き、現職の裁判官の問題意識と量刑実務の実情の吸収に努めた。また、この研究会における2本の研究報告につき、コメント執筆を引き受け、本研究による成果をふまえ、理論的観点から重要な指摘を行った論考を、『判例タイムズ』誌上に掲載した。
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Research Products
(2 results)