2007 Fiscal Year Annual Research Report
子ども・親・国家間関係の法的構造 -フランス育成扶助制度の研究
Project/Area Number |
18730059
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
久保野 恵美子 Tohoku University, 大学院・法学研究科, 准教授 (70261948)
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Keywords | 子ども / 親子 / 育成 / 児童 / 児童福祉 / 家族 / 児童虐待 / 民法 |
Research Abstract |
第1に、フランスの育成扶助制度の典型的な適用例のケースノートをまとめ(後掲「機能不全家族への国家による支援-フランス育成扶助制度の一事例」)、同制度周辺には幾重もの専門職種及び機関が整備され、それによって個々の家族の日常生活の状況にまで対応した制度運用が担保されていることを明らかにした。同様の観点から、わが国において近時見られる、刑事司法によって家族又は親族間で生じた紛争が裁かれる傾向に着目し、紛争のより早い段階での刑罰以外の緩やかで柔軟な方法による法的規律と刑罰の発動による強力な規制との適切な均衡が図られるべきことを指摘した(後掲「Merits and Limits of Criminalization of Famiy Law-Japan」)。これらの中間段階での研究成果は、わが国の制度設計との対照においてフランスの育成扶助制度について詳細に分析を加えるにあたって、特に重点を置くべき視点を整理する前提作業をなすものである。 第2に、育成扶助制度がその一部をなす家族法における親子関係とその両親の関係との連関にかかわり、別居及び離婚の場面における子の監護・養育の法的取扱いについて既存の判例及び学説の考察を行い(後掲「別居・離婚と子の監護」及び「破綻主義離婚における破綻の意義と裁量棄却」)、前年度に得られた結論たる「わが国の親子法は、父母の婚姻状態に基づいて親子関係が規律されるという特色を他国に比べて強く保っている傾向」を、父母の離別の局面に即して確認した。
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Research Products
(4 results)