2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18730060
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
田村 陽子 Ritsumeikan University, 法学部, 准教授 (60344777)
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Keywords | 証明度 / 証拠の優越 / 高度の蓋然性 / 心証開示 / 手続裁量 / 証明責任 / 超過原則 / 証明負担軽減 |
Research Abstract |
「裁判所の手続裁量と当事者の証明活動の相関性」について、民事の証明度を従来の判例・通説的見解による「高度の蓋然性」原則から「証拠の優越」原則に置き換えることによる民事訴訟手続全体への影響の点を検討した。とりわけ『当事者が証明活動を行う際あるいは裁判所が「裁量権を行使」したり「心証を開示」したりする際の規範的根拠としての意義』を第1の目的とした。この間、アメリカ・北欧およびドイツの学者と交流することができ、また必要な資料を収集することがかない、比較法学的見地より、新しい知見を得ることができた。 本研究により、民事訴訟における「当事者の公平」の見地および両当事者の「誤判防止の費用効率性」からは、アメリカの制度と同様、証拠の優越原則を民事裁判の証明度原則にすることが有効であること、また証明度は証明責任と併せて民事訴訟のバック・ボーン(訴訟遂行の行動指針)となることから、民事の証明度を証拠の優越で足りるとすることで、審理過程では証明責任を負わない側も証拠や訴訟資料の収集・提出により積極的に関わる必要が生じることから、証拠偏在事件において事案解明義務といった証明負担軽減の法理を論ずる必要がなくなり、かつ裁判所は弁論主義違反に問われなくなり、積極的な心証開示および両当事者への証明活動を促す(釈明する)ことがより可能になるなど、重要な訴訟制度の変換をもたらすことになる点で大きな意義があると思われる。
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Research Products
(1 results)