2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18730062
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
丸山 絵美子 筑波大学, 大学院ビジネス科学研究科, 助教授 (80250661)
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Keywords | 消費者契約 / 契約解消 |
Research Abstract |
本年度は、本研究を遂行する上で、必要となる文献情報の収集を行うとともに、必要となる書籍の一部について随時購入をすすめた。また、本研究のテーマにかかわる邦語文献については、その内容に目を通し、我が国における関連議論の整理に努めた。具体的には、特定商取引に関する法律におけるクーリング・オフ制度、消費者契約法における取消権、特定商取引に関する法律における取消権、同法の中途解約権にかかわる邦語文献を収集し、現時点における我が国の議論状況の整理を行った。そのうち、本研究テーマの一部である「消費者契約における取消の効果論」という問題に関しては、民法における不当利得法理の理解にかかわる難しい課題であるため、問題の所在と議論状況を正確に把握するため、東北大学大学院法学研究科の消費者問題研究会において、報告をさせていただき、研究会における議論を経ることによって検討をすすめた。そして、かかる検討の成果の一部を、筑波ロー・ジャーナル創刊号(2007年3月刊行)に「消費者契約における取消権と不当利得法理(1)」として発表をすすめている。現時点では、消費者契約の取消の効果をめぐる議論は、不当利得法理において事業者の非難可能性などを反映した調整的清算を行うべきか否か、消費者契約における違法行為抑止という目的達成のために事業者の価値返還請求を否定できるか否か、自己決定に問題のある取引において「押し付けの利得論」を参考とし主観的価値による清算を認めることが可能か否か、という問題軸に整理できるのではないか、との分析を行った。さらに不当利得に関する伝統的見解も含めて分析を進める予定である。また、今年度は、ドイツ法及びアメリカ法における関連文献収集を行い、比較法研究のための準備作業をすすめている。現時点では、クーリング・オフ制度について比較整理をすすめてきたところであり、制度の射程や要件・効果の組み立てについて相違が確認できたところである。
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