2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18730070
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
油納 健一 山口大学, 経済学部, 助教授 (20325236)
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Keywords | 不当利得 / 特許権 / 侵害 / 「使用利益」 / 損害賠償 / 利得 / 返還 |
Research Abstract |
本研究は、比較法的研究の成果を踏まえて、わが国における特許権者の救済方法を検討することを目的とする。 特許権侵害の検討に入る前に、ドイツ法には、物の無断使用における不当利得(「使用利益」)返還請求の方法を、特許権の無断使用の場合にも応用しようとする判例・学説が存在した。したがって、物の無断使用における不当利得返還請求の方法につき、詳細に把握・検討した。 その成果として、返還義務の対象を使用可能性とし、その使用可能性の算定を客観的市場価格に基づいて算定することが、ドイツにおける現在の支配的見解であり、日本法においても重要な示唆を与えうるものであることが判明した。 さらに、以上の成果を前提として、特許権侵害の事例において"不当利得制度"を用いた場合の返還義務の対象と「使用利益(使用料)」算定の問題についての研究を開始した。知的財産権侵害に関ずる不当利得判例は、学説の見解を受けて議論していると評価しうることから、まず学説から分析・検討を始めた。 また、ドイツにおける特許関係の法律・特許権侵害の実態を詳細に分析・検討し、その特質の把握に努めた。特許関係の法律は改正が繰り返されてきたため、いついかなる背景から、どのような改正がなされてきたのかも重要と思われたため、その点も注意して確認した。
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