2006 Fiscal Year Annual Research Report
商品等表示の機能の多様化に対応した法的保護の可能性と限界
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18730083
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
蘆立 順美 東北大学, 大学院・法学研究科, 助教授 (60282092)
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Keywords | 不正競争 / 商標 |
Research Abstract |
平成18年は、欧州商標制度に関しては、侵害要件の1つである「混同のおそれ」の判断に関する裁判例の検索・収集と分析、およびこの論点を扱った文献の収集と分析を行った。また、東京大学付属図書館において、同制度の立法過程における議論に関する資料を中心に収集を行った。 資料の一部を分析した結果、イギリス法における混同のおそれの概念は、欧州商標制度の実現以降においても、裁判例上、従来の基準を大きく変更することなく適用されており、欧州裁判所においても、ベネルクス商標法が採用してきた、拡大された混同のおそれの概念は否定されていることが分かった。 次に、国内法に関しては、まず、商標法について、主に並行輸入に関する裁判例および学説の議論を整理し、商標法の保護対象に関する分析を進めるとともに、登録商標が登録者とは異なる出所を示すものとして需要者に認識されるようになった場合の商標権の行使の可否等が争われた裁判例を素材として、周知性を獲得した標識と商標制度の関係についての整理、分析を進めた。 また、不正競争防止法に関しては、裁判例における周知性の獲得における考慮要素の整理と分析を行い、また、関連する文献の収集を行った。
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