2007 Fiscal Year Annual Research Report
外資企業における労使紛争の展開・収束過程にみる中国の政治社会構造
Project/Area Number |
18730089
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
小嶋 華津子 University of Tsukuba, 大学院・人文社会科学研究科, 講師 (00344854)
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Keywords | 中国 / 外資企業 / 労使紛争 / 工会(労働組合) / 外来工 |
Research Abstract |
本研究課題に関する平成19年度の研究実績は以下のとおりである。 第一に、近年新たに実施された外資企業に対する税制面での優遇政策の廃止、新「社会契約法」施行に伴う雇用面での制約、中国型CSRの実施、最低賃金の引き上げが、中国進出日系企業の経営と現地政府との関係、企業内の労使関係にいかなる変化を及ばしているのかについて、文献によるリサーチおよび工会関係者および労働者に対する聞き取り調査を行った。 第二に、既存の工会(労働組谷)組織に関し、昨今の改革状況を調査すると同時に、平成18年に実施した基層工会調査のデータに関し、所有形態別、省別の分析を行うた。特に工会の人事・財務を中心に所有形態別のクロス分析を行うことにより、党との緊密な結びつきを保ちながら、自発的結社としての色彩もわずかながらに備えつつある外資企業の工会の特徴が浮き彫りになった。 第三に、平年18年度に発見した外来工による自発的結社について、追跡調査を行った。特に、深〓市外来工協会については、他の労働者組織とともに、労働紛争仲裁費の撤廃を求める署名活動を行った後、2007年秋に当局により活動停止に追いやられた経緯があったため、同組織の現状を含め、詳細な分析を試みた。 上記リサーチの一部は、「労働者の権益保障をめぐる政治過程-深〓市を事例に-」(愛知大学21世紀COEプログラム国際中国学研究センター現代中国政治とアジア世界平和構築研究会COE最終報告書『中国内外政治と相互依存-中国政治研究の新機軸』、2007年所收)に用いたほか、「都市社会」(アジア政経学会編『現代アジア研究第2巻市民社会』慶應義塾大学出版会、2008年出版予定)、「労働者の権益保障をあぐるガバナンス」(アジア経済研究所編『中国の政治的安定性の課題-リスク要因と政治体制の変容』アジア経済研究所、2008年出版予定)に公表予定である。
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