2006 Fiscal Year Annual Research Report
仏伊西における「連邦主義」改革-グローバル化・ヨーロッパ化と「領域性」再編の政治
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18730091
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
伊藤 武 専修大学, 法学部, 講師 (70302784)
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Keywords | ヨーロッパ / イタリア / フランス / スペイン / 連邦制 / 分権化 / 領域性 / 地域 |
Research Abstract |
計画初年度に当たるH18年度は、研究の基礎作業として、仏伊西3力国を中心としたヨーロパの中央地方関係・連邦制改革や構造基金政策などに関する既存の実証的・理論的研究の再検討を課題とした。 1.理論的研究としては、従来近代国民国家と不可分に結びついてきた「領域性(terrioriality)」再編過程を捉えるため、S・ロッカンの国家形成論および近年のガバナンス研究や政治社会学的研究について検討した。 2.実証的研究としては、3カ国における広域自治体・政府であるRegionへの分権化を進める連邦主義高改革について、調査・研究を進めた。基本的制度変化・分権化過程の特質については、関連する既存研究や政策資料の文献調査に加えて、仏伊両国については現地調査を実施して資料収集を行った。 3.上記の研究を受けて、領域性再編過程が顕著に観察できる分野として、新たに福祉政策の分権化・多層化について注目し、調査・研究を進めた。具体的には、医療・社会扶助に加えて、分権化の点では従来目を向けられていなかった年金政策にも目を向けた。 4.これらの研究の成果として、まず、イタリアの年金改革について、日本政治学会研究大会での報告論文、および所属大学の紀要、雑誌『生活経済政策』などの媒体で成果を公表した。これらの論文では、産業部門や社会所層など従来年金争点で重要とされていた職能利益に匹敵する形で、経済社会格差を内包したRegionの領域利益が重要性を増していることを明らかにした。 5.領域性の概念の連邦主義的改革の理論的側面については、主要文献の書評論文を『国家学会雑誌』に寄稿した(6月刊行予定)さらに、福祉政策以外に、Eu地域政策や政治的代表制度改革との関連を含めて視野を広げた検討の成果は、『領域性(territoriality)』概念の再検討-近代国民国家の変容と連邦主義的改革の中で」としてまとめ、人文書院から刊行される論文集に掲載されることになっている。
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