2007 Fiscal Year Annual Research Report
仏伊西における「連邦主義」改革-グローバル化・ヨーロッパ化と「領域性」再編の政治
Project/Area Number |
18730091
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
伊藤 武 Senshu University, 法学部, 准教授 (70302784)
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Keywords | ヨーロッパ / イタリア / フランス / スペイン / 連邦制 / 領域性 / 分権化 / 地域 |
Research Abstract |
計画初年度に当たるH19年度は、研究初年度において実施した、仏伊西3力国を中心としたヨーロッパの連邦主義改革などに関する基礎的作業を基に、実証調査と理論枠組の再検討を行った。 1.理論的研究としては、従来近代国民国家と不可分に結びついてきた「領域性(territoriality)」の再編過程を捉えるため、領域性に関するさまざまな分野の研究を踏まえて、理論的考察を深めた。 2.実証的研究としては、3力国における広域自治体・政府であるRegionへの分権化を進める連邦主義的改革について、引き続き調査を進めた。既存研究や政策資料の文献調査に加えて、伊を軸に現地調査を実施して資料収集を行った。 3.上記の研究を受けて、領域性再編過程が顕著に観察できる分野として、新たに福祉政策の分権化・多層化について注目し、論文を執筆した。さらに、国土開発の歴史的発展にも視野を広げて、研究した。 4.これらの研究の成果として、まず、領域性概念と社会経済政策・福祉政策・地域開発政策・政治分野を合わせた連邦主義改革については、まず、「『領域性(territoriality)』概念の再検討-近代国民国家の変容と連邦主義的改革の中で」(宮島他編『地域のヨーロッパ』人文書院)にて特に理論的側面を強調した論文を執筆した。さらに、日本政治学会研究大会での報告、および報告論文(「政治経済システムの変容-政労使協調(concertazione)の視角から」)では、労使交渉の分権化に注目した。また、地域開発については、論文(「『領域性(Territoriality)』と地域-イタリアにおける地域開発と公的金融からの接近」、京都大学地域研究統合情報センター『地域研究』8-1)において、中央集権国家時代から連邦制導入が課題となる現代までの変容を追跡した。
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