2006 Fiscal Year Annual Research Report
宗教ロビーと政治の総括的関係モデル--現代日本における神道系組織の事例を通じて
Project/Area Number |
18730093
|
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
T Guthmann 三重大学, 人文学部, 助教授 (30335111)
|
Keywords | 現代政治 / 宗教ロビー / 神道政治連盟 / 自由民主党 / 右翼的思想 / 世論 |
Research Abstract |
神道政治連盟と同団体の国会議員懇談会に所属している議員の間に、どのような関係がどの程度あるか、また様々な政治問題に関して神道政治連盟と懇談会所属メンバーの立場がどの程度一致しているかということを把握するために10人の国会議員と面会した。その内には、懇談会会長である綿貫民輔氏、副会長である亀井久興氏も含まれる。そして、2000年に「神の国」発言をした懇談会顧問でもある森喜朗元首相との面会も実現できた。それ以外にも、自由民主党の週刊および月刊機関紙を購読し、その党の政治的な主張を検討した。 収集したデータはまだ整理の途中であるが、自由民主党の党としての方針は神道政治連盟の右翼的な主張と一致している点が多い。しかし、同党の議員の間では、神道政治連盟の政治的な主張に対して立場のばらつきが見られる。面会した10人の国会議員の間で、アニミズムに由来する神道の感覚および象徴天皇制度が日本文化の土台であるという考えは共通しているが、首相および天皇の靖国神社公式参拝の是非という問題に関しては慎重派と賛成派に分かれている。 各世論調査の検討(政府発行の『世論調査年鑑』等)を通じて神道政治連盟のイデオロギーの日本社会への浸透度も調べた。さらに、既存の世論調査の中で見つけることのできないデータについては三重大学、岐阜大学、和歌山大学、中央大学の各大学の教官の協力を得て、学生やその学生の親戚を対象にした世論調査も行った(回答数800程度)。データはまだ整理の途中であるが既に言えるのは、全体的に神道政治連盟が主張している諸政治問題に関する立場は今のところでは世論にあまり深く浸透していない。問題によってばらつきがあるが、神道政治連盟の立場に近い世論の割合は1,2割であろう。
|