2006 Fiscal Year Annual Research Report
英米における日本政治観の形成と変遷-1918〜1952年-
Project/Area Number |
18730116
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
奈良岡 聰智 京都大学, 法学研究科, 助教授 (90378505)
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Keywords | 外交史 / 国際関係史 / 国際認識 / 政党政治 / 二大政党制 / 日露戦争 / 第一次大戦 / 捕虜 |
Research Abstract |
本研究は、英米両国が日本政治をどのように見てきたのかを、第一次大戦後から第二次大戦後までの長期的なスパンの中で検討するものである。本年度はまず、これまでの研究を土台にして、『加藤高明と政党政治』という著書をまとめた。本書は、第一次大戦後の日本における二大政党制の形成過程を明らかにしたものであるが、英国の外交官がその過程をどのように捉えていたか、日本の政治家・外交官が日本政治の実情をどのように認識し、英米に発信していたかという視点からの分析をも組み込み、さらにそれが第二次大戦後の英米における日本政治観形成にどのようにつながったかという見通しを示した。これらの分析は、本研究全体の枠組みをスケッチしたものである。 さらにミクロな分析を深化させるため、8〜9月に英国で史料調査を行った。公文書館、オックスフォード大学ボードリアン図書館などにおいて未公刊の一次史料を調査、収集、分析し、1918〜1937年の英米における日本政治観を解明する好素材を得た。今後これらの史料のさらなる分析を進め、論文としてまとめていく予定である。また滞英中、英国国際史学会(於グリニッジ)に出席し、アジア主義や人種問題など本研究に関連する報告を聞く機会を得た他、翻訳予定の論文執筆者、出版準備中の本の共編者と打ち合わせを行うことができた。 さらに、日本国内でも各機関を訪問し、多くの新たな一次史料を発掘することができた。このうち、英米の対日観を形成する上で重要な位置を占めている戦争中の「捕虜」待遇問題について、新発見史料をもとに、論文「第一次大戦勃発時のドイツにおける日本人「捕虜」」を執筆した。同論文で活用した新史料については、出版準備を進めている。また、日本国際政治学会(於千葉県)の分科会「日露戦争をめぐる政策決定再考I」で討論者を務め、英米の対日観と外交の関わりなどについて検討を行った。この他にも、英米の対日観を踏まえつつ日本外交や日英関係の分析を進めており、執筆中の日本外交史のテキスト、投稿済みの英文論文が平成19年度中に公刊される予定である。
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Research Products
(2 results)