2007 Fiscal Year Annual Research Report
EUにおける市民社会組織参加型ガヴァナンスの機能と正統性
Project/Area Number |
18730117
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
網谷 龍介 Meiji Gakuin University, 国際学部, 准教授 (40251433)
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Keywords | EU / 市民社会組織 / 社会政策 / 専門性 / ヨーロッパ裁判所 / 欧州委員会 |
Research Abstract |
本年度は,まず調査としてブリュッセルでの聞き取りを行った.社会政策関係の団体である社会プラットフォームおよびヨーロッパ労働研究所のディレクターにインタビューを行い,各々から現在のEUの社会政策の動向や各組織の活動について調査した.その成果の一部は年度末に執筆した論文に反映させた. また,研究の中間報告の一部として,ヨーロッパ政治コンソーシアムの研究大会で報告を行い,ヨーロッパの研究者からのコメントを得ることができた.報告ペイパーについては,改稿し,英語で公表することを目指している. 今年度中に,成果の一部の公表のため執筆を終えた論文としては,裁判所の役割に主として焦点をあてた論文と,専門家ネットワークの論文に焦点をあてた論文がある.EUレヴェルの市民社会組織は,少なからず専門性を供えた組織としての性格を持っており,相対的には規模の大きくないEU官僚組織に対して,政策的なアイディアを入力する機能を果たしている.すなわち,ヨーロッパレヴェルの政策言説の構築において,市民社会組織は有力な位置主体なのであり,その役割をEU委員会やヨーロッパ裁判所(ECJ)の関係の中で一定程度明らかにすることを試みた. ただし,EUレヴェルの市民社会組織の役割は同時に限定的でもある点も明らかとなった.それは主としてヨーロッパレヴェルの言説の蓄積にのみ関与している点である.したがって,次年度は,ヨーロッパレヴェルと各国レヴェルの相互作用の中で市民社会組織が果たす役割について,より具体的に検討を行う予定である.
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