2006 Fiscal Year Annual Research Report
第二次世界大戦期におけるバルト諸国の併合問題、1939-1940年
Project/Area Number |
18730121
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Research Institution | J. F. Oberlin University |
Principal Investigator |
大中 真 桜美林大学, 国際学部, 講師 (70310331)
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Keywords | 外交史 / 国際関係史 / バルト諸国 / 第二次世界大戦 / 英ソ関係 |
Research Abstract |
本年度研究計画に記したように、英国への資料収集を行い、それに補助金の大部分を使用した。平成19年2月に渡英し、まずオクスフォード大学ボードリアン図書館を訪問し、同図書館新館の現代史資料室において、インヴァーチャペル・コレクション(第二次世界大戦期の駐ソ英大使の個人文書)およびアトリー・コレクション(同時期の英国チャーチル内閣副首相、ソ連関連の個人文書)を閲覧できた。残念ながらバルト諸国に関する決定的文書は見つからなかったものの、バルト諸国併合をめぐる時期の微妙な英ソ関係を解明する手がかりを得た。ついでロンドンの国立公文書館を訪れ、大戦前夜ならびに大戦中のバルト諸国に関する英国外務省機密文書のファイルを合計9つ閲覧し、補助金で購入したデジタルカメラで特に重要な文書約350枚の撮影に成功した。さらにイングランド銀行文書館を訪れ、大戦間期から大戦勃発に至る時期のバルト諸国関連のファイルを閲覧し、約50枚の機密文書を撮影した。中には、これまでほとんど紹介されてこなかった非常に貴重な報告書が含まれており、今回の調査旅行で最大の収穫を得た。予想に反し、かなり膨大な量のファイルが保管されていることが分かり、今回だけでは到底全てに目を通すことができなかったのが悔やまれる。加えてロンドンでは、LSE名誉教授で、日英関係史の大家であるイアン・ニッシュ先生と会うことができ、英国での資料収集や学問状況について、多くの情報を大きな示唆を受けた。渡英が年度末ぎりぎりになったこともあり、まだ資料分析をしている最中であり、平成19年度中に業績を論文として発表する予定であるが、今回の科研費補助金により資料収集に非常に大きな進展があったことは間違いなく、補助金をいただいたことに感謝申し上げたい。
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