2007 Fiscal Year Annual Research Report
第二次世界大戦期におけるバルト諸国の併合問題、1939-1940年
Project/Area Number |
18730121
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Research Institution | J. F. Oberlin University |
Principal Investigator |
大中 真 J. F. Oberlin University, リベラルアーツ学群, 講師 (70310331)
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Keywords | 外交史 / 国際関係史 / バルト諸国 / 第二次世界大戦 / 米ソ関係 |
Research Abstract |
初年度(平成18年度)および今年度(平成19年度)の研究成果については、次頁の「研究発表」欄で見るように、EUと日本との共同研究プロジェクト(EUIJ東京コンソーシアム)において口頭発表の場を、また出版物としても共著として立派な書物を刊行することができた。また計画の実現性について言及すると、今年度の研究実施計画に従い、年度内に米国スタンフォード大学フーヴァー研究所文書館を訪問し、集中的に所蔵資料を閲覧することができた。同研究所バルト三国全てについて、相当数の未公開・未公刊の個人コレクションを保管していることが判明し、しかもそれは日本人研究者が存在さえもほとんど知らないものであると思われる。その数はバルト諸国全般14、エストニア25、ラトヴィア61、リトアニア30にも及び、それぞれの個人ファイルは複数のボックスから構成されている。私が時間をかけて閲覧したのはその中の一つ、エストニア初代大統領コンスタンティン・パッツ文書であり、1940年夏にソ連軍に連行されてから軟禁状態のまま1956年に死に至るまでの、極めて貴重な記録であった。その具体的内容については、文書の分析をした上で学術雑誌等での発表を予定している。また、フーヴァー研究所のバルト諸国関連コレクションの存在そのものについても、機会を見つけて報告したいと考えている。その他の予算執行について言及すると、予想外の急激な円高ドル安のため、アメリカでの現地調査費用が当初の見積額よりかなり低く抑えられたため、その分を主に図書購入に充当した。特に、事実上世界唯一のバルト研究学術誌のJournal of Baltic Studiesバックナンバーを部分的に購入できたことは、今後のバルト研究にとって大きな財産になると思われる。今年度も科研費補助金をいただいたお陰で、研究の前進と、具体的成果の刊行ができ、心から感謝申し上げたい。
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