2008 Fiscal Year Annual Research Report
第二次世界大戦期におけるバルト諸国の併合問題、1939-1940年
Project/Area Number |
18730121
|
Research Institution | J. F. Oberlin University |
Principal Investigator |
大中 真 J. F. Oberlin University, 人文学系, 准教授 (70310331)
|
Keywords | 外交史 / 国際関係史 / バルト諸国 / 第二次世界大戦 / 冷戦 |
Research Abstract |
今年度交付申請書に計画したとおり、2008年8月に現地調査を実施した。すなわちラトヴィアの首都リーガにある占領博物館を訪問、館員の学芸員とインタビューを行い、展示内容や博物館が果たす役割について質問を行った。学芸員の案内で館内の展示をくまなく調査し、ラトヴィアで第二次世界大戦とナチス=ドイツおよびソ連邦による占領をどのように若い世代に伝えているのかを聞き取りした。同時にリーガにある戦争博物館等の他の施設を訪問、また在リーガ日本大使館も訪ね、臨時代理大使から最近のラトヴィア情勢について意見を伺った。次に隣国エストニアの首都タリンの占領博物館を訪問、館長と直接インタビューを行った。博物館の設立経緯、展示の意義、若い世代への教育などについて、広範囲にまた率直な意見を聞くことができた。同時に展示物、歴史的に貴重な映像フィルムを見学した。さらに在タリン日本大使館を訪ね、臨時代理大使と面会し、エストニアとロシアの情勢などについて貴重な話を伺った。また対ロシア関係を大きく動揺させた歴史記念碑である「兵士の像」を現場に訪ね、郊外の国立共同墓地に独立以来のエストニア国家元首の墓を訪れて調査を行い、タリン旧市街地区の歴史記念物(独立と併合に関するもの)も直接調査確認した。タルトゥ大学にも足を延ばし、大学関係者と面会して本館のホールなどを特別に見学したほか、大学の近況について意見交換を行った。このように、研究費の最後の年にエストニアとラトヴィアを直接訪れ、多くの関係者に会い、また現場を訪ね、貴重な知見を得た。両国では、それぞれ書店にて、日本では入手できない研究書多数を購入することもできた。改めて、今年度も科研費を交付されたことに感謝したい。研究成果について、その一部は今年度も刊行することができたが、さらに今後、様々な場での発表および刊行を予定している。
|