2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18730129
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
芦谷 政浩 Kobe University, 大学院・経済学研究科, 准教授 (10304057)
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Keywords | 合理的期待形成仮説 / 戦略的な予測行動 / 所属業種の影響 |
Research Abstract |
平成20年度は、3年間の研究の集大成として、学術論文を執筆した。 本研究課題では、「極端な予測を的中させれば世間の注目を集めるので、予測情報を顧客獲得などに利用している企業は、ある程度平均予測精度を犠牲にしても予測の差別化を図る」という仮説を日本の研究機関の実質GDP予測データ26年分を用いて検証した。この仮説を日本の景気予測に当てはめると、独立系の研究所が最も極端かつ最も不正確な予測をし、(予測値を主に社内で利用していると思われる)商社系の研究所が中庸かつ最も正確な予測、銀行系・証券系・生損保系の研究所が両者の中間に位置することが予想される。データを分析した結果、 1. 商社系と銀行系の研究所は、市場平均値に近い予測をする 2. 独立系の研究所は、市場平均値と大きく異なる予測をする 3. 商社系の研究所は、他社平均と比べて約0.06%ptsだけ平均予測誤差が小さい 4. 独立系の研究所は、他社平均と比べて約0.04%ptsだけ平均予測誤差が大きい という分析結果を得た。つまり、上記仮説は日本の研究機関の実質GDP予測データによって支持された。本研究は、上記仮説を支持する結果を得た最初の研究である。 研究成果をまとめた論文は、 Ashiya, M(2009)"Strategic Bias and Professional Affiliations of Macroeconomic Forecasters."Journal of Forecasting, 28(2), March, pp.120-130. として、経済予測に関する一流の査読つき学術雑誌に掲載された。
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Research Products
(1 results)