2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18730136
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
祝迫 達郎 立命館大学, 経済学部, 助教授 (40351316)
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Keywords | 特許政策 / 経済成長 / 景気循環 / 技術移転 |
Research Abstract |
本研究は、特許政策を動学的に分析するものであり、具体的には下記の2つの分析を行い、それぞれ結果を得た。 1.特許政策と経済成長を扱った従来の研究では、資本蓄積や外部的知識形成(learning by doing)を考慮していなかった。本研究では、これらも含んだ一般的成長モデルを構築し、そこで特許政策の経済成長への影響の分析を行った。その結果、特許保護強化は研究開発を促進するが、資本蓄積は阻害してしまうことがわかった。また、資本蓄積阻害の効果が強い場合は、特許保護強化は経済成長を低下させることがわかった。既存研究の多くは特許保護強化は経済成長を促進するという結論を得ていたので、特許政策を考える上で本研究の結論は重要であるといえる。 2.新技術を開発する先進国とその技術を模倣する発展途上国の2国の動学的一般均衡モデルで、先進国から発展途上国への技術移転が熟練労働・未熟練労働の国内賃金格差にどのような影響があるか、分析を行った。従来の研究では、教育を受け熟練労働になるかどうかの選択を内生化していなかったが、本研究では内生化して分析を行った。また、既存研究では、発展途上国への技術移転・生産拠点の移動が進む過程での分析ができなかった。本研究では、単純な世代重複モデルを用いることで移行過程の記述を単純化し、移行過程の分析を可能にした。この分析の結果、発展途上国への技術移転・生産拠点の移動は、先進国内の国内賃金格差を拡大し、かつ教育を受けた熟練労働の供給を増やすことが示せた。この傾向はアメリカの実際の傾向と整合的で、現実の傾向を示せる理論になっている。 研究成果の発表に関しては、1.は、政策研究大学院大学のセミナーで報告を行った。また2.に関しても、2006年度日本経済学会春季大会(於、福島大学)で報告を行い、海外学術雑誌に投稿した。現在、再投稿の要請を受け、再投稿のための改訂中である。
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