2007 Fiscal Year Annual Research Report
動学的環境における市場メカニズムのゲーム理論的分析
Project/Area Number |
18730137
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
清水 崇 Kansai University, 経済学部, 准教授 (80323468)
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Keywords | 動学的 / 市場 / 貨幣 / チープ・トーク / 退出と発言 / サーチ / 結婚市場 / 離婚法 |
Research Abstract |
昨年度作成の論文"A Comparative Analysis of Trading Institutions in a Dynamic Monetary Model"を改訂して"Large Auction in a Large Economy"(神谷和也氏との共著)を作成した.この論文では動学的環境における幾つかの取引制度(サーチ・交渉,中央集権的オークション,分権的オークション,ワルラス市場)を比較・分析した.その結果,貨幣価値が内生的に決定されるために,ワルラス市場で見られる効率的な取引形態が他の取引制度の下では必ずしも実現しないことが示された.これは完全競争市場のゲーム理論的基礎付けの研究で従来議論されていなかった論点である。 また昨年度作成の論文"A Model of Exit and Voice"を発展させ,論文"Cheap Talk with the Exit Option: A Model of Exit and Voice"および"A Model of Exit and Voice in Marriage Market"(丸山亜希子・山本和博氏との共著)を作成した.前者は退出オプションのあるチープ・トーク・モデルを分析することで,退出行動の存在が組織内部の「発言」("Voice")の情報精度ひいては経済厚生を高めることを示した。後者ではサーチ・モデルを用いて結婚市場における退出と発言の効果を帰責主義離婚法と破綻主義離婚法という異なる離婚法の下で分析した.その結果,どちらの離婚法が社会的に望ましいかは,主に資産の移転可能性や夫婦内での行動協調の可能性などの程度によってきまることを明らかにした.
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Research Products
(4 results)