2006 Fiscal Year Annual Research Report
定常・非定常経済モデルの構造変化に関する統計的推測
Project/Area Number |
18730142
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
黒住 英司 一橋大学, 大学院経済学研究科, 助教授 (00332643)
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Keywords | 構造変化 / 定常性 / 非定常性 / 閾値 / 共和分 / 自己回帰モデル |
Research Abstract |
本研究の研究目的は、データの定常・非定常性に依存しない、時系列モデルの安定性の検定手法を構築することであるが、平成18年度はとりわけ、単一方程式モデルに焦点を絞って研究を行った。 1. 1変量自己回帰モデルの構造変化について 構造変化の検定を行う場合、構造変化が起きたと想定される変化点前後でサンプルを分割し、二つのサンプル期間それぞれで係数の推定量を得ることが必要である。従来の問題点は、最小2乗推定量はその漸近分布がデータの定常・非定常性に依存することであったが、今回の研究で、条件付漸近分布がデータの性質には依存せず正規分布に従う操作変数推定量の構築に成功した。この結果を利用すると、各係数の個別の統計的推測に関するワルド検定統計量が漸近的にカイ2乗分布に従うことが判明した。従って、データの定常・非定常性にかかわらず,、個別係数の統計的推測が可能となった。一方で、分割された2つのサンプル期間の係数にまたがる統計的推定にはいくつかの理論的問題点があることも発見された。この結果は一般のp次の自己回帰モデルに対して得られている。 2.閾値共和分モデルの検定について 近年、ファイナンスなどの分野で、構造変化の特殊な形態の一つである閾値共和分モデルに関する研究が進められていることから、関連論文を調査した。その結果、ダイナミックOLSの手法が応用可能であることが分かった。しかしながらこれまでの先行研究では、共和分モデルの誤差項に強い系列相関が存在するとダイナミックOLS推定量の精度が落ちることが、コンピュータによるシミュレーションで分かっている。そこで、本研究では精度が落ちるメカニズムを理論的に解明した。また、この結果は閾値共和分モデルに対しても当てはまることが分かった。
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Research Products
(4 results)