2008 Fiscal Year Annual Research Report
定常・非定常経済モデルの構造変化に関する統計的推測
Project/Area Number |
18730142
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
黒住 英司 Hitotsubashi University, 大学院・経済学研究科, 准教授 (00332643)
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Keywords | 構造変化 / 定常性 / 情報量規準 / パネルデータ / ベクトル自己回帰モデル / バイアス修正 |
Research Abstract |
本研究の目的は、データの定常・非定常性に依存しない、モデルの安定性の検定手法を構築することであるが、平成20年度は以下の研究成果を得た。 1. ベクトル自己回帰モデルの構造変化の検定 本研究の目的にあるとおり、ベクトル自己回帰モデルにおいて、定常、非定常、共和分の有無や階段に依存しない、構造変化の検定法を開発した。 2. 定常性の検定の検定サイズの調整 20年度研究計画2にあるとおり、定常性の検定のサイズの歪みを調整する新たな方法を確立した。また、シミュレーション実験により、新たな手法の有効性が確認された。現在、トレンド定常モデルへの応用を模索中である。 3. 情報量規準に基づく構造変化の数の推定方法の確立 20年度研究計画3にある閾値モデルの分析の前段階として、ベクトル自己回帰モデルに関する構造変化の研究を行い、以下の研究成果を得た。 (1) 構造変化が複数ある場合、変化の回数の推定について、いくつかの情報量規準を新たに確立した。具体的には、AIC規準、BIC規準、マローのCp規準を新たに確立したが、いずれも従来の規準とは異なる形式となることを明らかにした。 (2) シミュレーション実験により、これらの規準有限標本特性を明らかにした。 (3) 上記の結果を北アイルランドのクイーンズ大学でセミナー発表をおこなった。 4. パネルデータ定常性の検定 20年度研究計画2に関連して、定常性の検定の検出力を増す手段として、クロスセクション間に従属性がある場合のパネルデータの定常性の検定を開発し、その成果をヨーロッパ学会で発表した。
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