2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18730143
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
高見澤 秀幸 一橋大学, 大学院経済学研究科, 講師 (60361854)
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Keywords | 短期金利 / イールドカーブ / ボラティリティ / 非線形ドリフト / 金利オプション |
Research Abstract |
本研究の目的は、イールドカーブに含まれる有用な情報を抽出し、それを金利・インフレの予測や金利派生商品の価格付けに活用することである。18年度は、イールドカーブの形状から金利ボラティリティの推定を試みた。通常、満期までの期間が長くなるほど金利は高くなる。これは、より長期間金利変動リスクに晒される投資家が要求するプレミアムを反映している。逆に、イールドカーブの形状(リスク・プレミアムの程度)から金利変動リスクを抽出できることが示唆される。金利変動リスクを測る代表的指標が金利ボラティリティであるため、この推定が可能となるのである。本研究の特色は、金利ボラティリティ推定にイールドカーブのデータ(パネル状のデータ)を用いる点である。1系列(例えば1ヶ月物金利)のみのデータから推定を行う多くの既存研究に比べ、用いる情報量が多い。次の2点を明らかにする。イールドカーブから抽出された金利ボラティリティの、(1)イールドカーブ・ファクタとの関係、(2)予測力。(1)を把握することは、イールドカーブに依存する金利派生商品の価格付け・ヘッジ精度の向上につながる。(2)を確認できれば、フォワード・ルッキングなイールドカーブの持つ情報の有用性を改めて主張できる。(1)の結果:金利ボラティリティは、イールドカーブ変動を担う代表的な3つのファクタ(レベル・スプレッド・ツイスト)のうち、ツイスト・ファクタとの相関が最も高い。ツイストは金利派生商品価格に強い影響を与えることが知られているため、ここで抽出された金利ボラティリティは、金利派生商品価格から得られるインプライド・ボラティリティとも強く関連していることが示唆される。(2)の結果:外挿期間における実現ボラティリティ(Realized Volatility)を予測したとき、通常のGARCH型モデルに基づく予測よりも誤差が小さい。これは推定・予測期間をある程度変えても成り立つ。
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Research Products
(1 results)