2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18730143
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
高見澤 秀幸 University of Tsukuba, 大学院・人文社会科学研究科, 講師 (60361854)
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Keywords | 金利期間構造 / ボラティリティ / オプション / 拡散過程 / 条件付き期待値 |
Research Abstract |
以下の3点の成果を挙げる。(1)無裁定価格理論に基づく割引債価格を解析的に得ようとすれば、その価格に影響を及ぼすファクターの変動モデルに制約を課す必要がある。ところが、これらの制約は時系列解析の実証研究において、統計的に棄却される場合が多い。そこで本研究では、これらの研究が支持する変動モデルを用いながら、割引債価格の解析的表現を得る近似方法を提案した。この成果をまとめた論文"Modeling the Term Structure of Interest Rateswith General Diffusion Processes : A Moment Approximation Approach"は学術誌Journal of Economic Dynamics and Control"に採択された。(2)イールドカーブから示唆された金利ボラティリティは、債券市場における投資家の選好や将来見通しを反映しているため、市場データとの整合性の高いリスクプレミアム推定や精度の高い金利予測を可能にすると期待される。しかし、制約的なモデルを用いている既存研究では、イールドカーブから抽出したボラティリティがGARCHなどの通常のボラティリティとは異なる挙動を示すという問題が生じ、従ってよりよい推定や予測に至っていない。そこで本研究では、時系列分野の研究成果を取り入れたボラティリティ変動モデルを考慮し、上記「1」の成果を利用して推定を行った。その結果、この問題は大幅に改善され、さらに予測力(特に金利変動に関する)も向上することが示された。この成果を大阪大学CSFI主催のワークショップで発表した(題目名 : Interest Rate Volatility Implicit in Term Structure Data)。(3)データ適合的なボラティリティ変動モデルを考慮した上で、オプション価格の高速計算を可能にする方法を開発し、論文"Fast Computation of European Option Prices via Approximation to their Fourier Transform"にまとめた。現在、投稿準備中である。
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