2008 Fiscal Year Annual Research Report
極値理論を用いた高分位点の推定に関する理論と方法論の研究とその経済学への応用
Project/Area Number |
18730144
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
沖本 竜義 Yokohama National University, 大学院・国際社会科学研究科, 准教授 (70420304)
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Keywords | 極値理論 / コピュラ / マルコフ転換モデル / MCMC / ブートストラップ |
Research Abstract |
平成20年度は、平成19年度に引き続き、多変量の極値間の従属関係の研究を中心に行った。具体的には、国際的な経済関係や金融市場の発展に伴い、過去35年間の国際株式市場の従属関係がどのように変化してきたのかを極値コピュラと平滑化推移モデルを用いて解析した。特に、国際株式市場が安定的な状態における従属関係と市場が不安定な場合の従属関係の強さが異なる可能性を考慮に入れ、正の極値間の従属関係と負の極値間の従属関係において、異なる変遷過程を許容するモデルを提案し、実証研究によりそのモデルの有用性を確認した。また、その実証研究の結果、国際株式市場の従属関係が次第に強くなってきているにとが確認され、その従属関係の増大が、正の極値間の従属関係の増大と負の極値間の従属関係の増大の両方から来ていることが確認された。さらに、70年代は負の極値間の従属関係のほうが強い傾向が見られたが、正の極値間の従属関係のより大きな上昇により、近年では2つの従属関係の強さにはほとんど差が見られなくなってきていることも確認された。また、同様の手法を用いて、国際的な国債市場の従属関係の変化についても研究を行った。その結果、長期国債に関しては、株式と同様に国際的な従属関係が大きく増大しているが、短期国債に関しては、それほど大きく増大していないことが確認された。この結果は、国際的な金融市場の共変動が重要になっている一方、各国のビジネスサイクルは金融市場ほど統合されていないことを示しており、マクロ経済学とファイナンスの両方の分野において重要な結果である。これらの2つの研究で得られた結果は、一橋大学、日本銀行を含む複数の大学と研究機関でセミナーとして報告された。
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