2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18730152
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
張 陽 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 助手 (60302204)
|
Keywords | 失業 / 中国経済 / 真相 / H-Tモデル / FDI / 工業用地 / 農業用地 / 雇用機会 |
Research Abstract |
フィールド調査が今年度の重点となっているが、現在まで長期にわたり学術交流を続けてきた東北財経大学の李宏舟助教授との打ち合わせの結果、大連市の失業人口を政府の力を借りずに研究者のみで調査するのは不可能ではないが、政治的なリスクを負わなければならない(つまり、このような情報は中国政府にとっては国家秘密に該当するからである)。政治的なリスクを避けるため、私は日本国内で開催される種々の中国問題研究討論会に参加し、そこから中国国内の経済情報を収集した。そこで多様な分野の中国問題の専門家と意見を交流し、中国都市部の失業のおおよその状況を把握することが出来た。 より詳しく中国の失業現状を把握するために18年度私は三回の中国訪問の中で、中国の主要な6つの都市(北京、上海、天津、藩陽、大連、長春)を訪れた。百人近くの個人に対してインタビューを直接行い、自ら中国都市部の失業現状を確かめた。結論から言うと、中国の都市部の失業現状は中国政府の言う楽観的なものとはまったく異なり、近いうちに解決できそうな問題でもない。正直、その深刻さは中国社会を崩壊させることが出来るほどだと感じた。 このような深刻な問題を解決するためには、当該問題をきたした原因の究明からスタートしなければならない。中国統計年鑑のデータから、中国都市部の失業率は外国の中国への直接投資と正の相関を持っていることが分かった。しかし両者の関係解明がいままでの中国都市部の失業問題に関する研究にはほとんど見当たらなかった。その因縁関係を解明するために18年度の後半に私は労働経済学で有名なHarris-Todaroモデルに外資企業の行動を導入し、また土地市場をも考慮したモデルを開発した。簡単なシミュレーション分析により、FDIの増加は当該都市の失業率を高めることが確かめられた。現在結果を論文にまとめている最中である。
|
Research Products
(1 results)