2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18730158
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
神林 龍 Hitotsubashi University, 経済研究所, 准教授 (40326004)
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Keywords | 解雇費用 / 裁判経験 |
Research Abstract |
本研究の第一の目標は、全国的な裁判記録の閲覧を通じた解雇事件に関する全国的なデータベースの作成である。東京地裁にて1987年1月1日より2004年12月31日までに終局した事件のうち、雇用関係存続確認等請求事件に分類される事件の事件番号を最高裁判所より採取し、閲覧請求を通じてデータを収集した。収集項目は、事件概要、企業の概況、審級関係、解雇状況、組合活動との関連、和解内容、労働者の概況、裁判官の氏名、雇用契約の様態(有期契約か無期契約かなど)などである。こうして採取されたデータおよび判例集から収集したケース・スタディ、さらに最高裁による事件票の特別集計を用いた実証的分析をもとに、『解雇規制の法と経済』所収の5本の論文(第2章「ある整理解雇事件の姿」、第3章「判例集からみる整理解雇事件」、第5章「四要件判断の統計的分析」、第6章「裁判所における解雇事件」、第7章「東京地裁の解雇事件」)を執筆し、日本評論社より出版した。さらに、有期雇用の雇止めまで考察の範囲を拡大し、労働法上の規制に一定の経済的論理を与えたのが、『雇用社会の法と経済』所収の神林・両角論文「有期雇用の規制」である。また、収集されたような秘匿データの保存と利用方法についての論考を『経済研究』に発表したほか、解雇規制にかかわる法規制と近年の労働市場との関係の考察を含めた論考を発表した。
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