2006 Fiscal Year Annual Research Report
グローバリゼーション時代における都市・地域労働市場の分析
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18730162
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
佐藤 泰裕 名古屋大学, 大学院環境学研究科, 助教授 (30332703)
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Keywords | 都市・地域労働市場 / グローバリゼーション / 失業 / スキル・人的資本 / 地域経済学 / 都市経済学 / 国際経済学 / 国際研究者交流 |
Research Abstract |
今年度はこれまでの研究を進展させ、以下の成果を得た。1.労働市場に集積の経済がある場合に、資本移動がなにをもたらすか、そして、その時の政府の行動を明らかにした(Sato and Thisse,2007)。その結果、財市場由来の集積の経済に比べると、労働市場由来の集積の経済は、企業を引き寄せる力が弱く、外資導入を狙った政策の効果が両者の下では大きく異なることが分かった。2.失業が存在する経済において交易があるもとでの消費税導入の効果を明らかにした(Moriconi and Sato,2006)。特に、消費地ベースで課税するのか、それとも原産地ベースで課税するのかで、雇用に対する効果が異なることが分かった。3.(地方)政府が供給する公共財が生産に寄与する場合に、失業がある経済において、資本課税が引き起こす外部性について明らかにした(Ogawa, Sato and Tamai,2006)。 さらに、引き続いて、貿易がスキル形成にどのような影響を及ぼすのかについての研究を開始した。これまでのところ、貿易が様々な経路を通じてスキル形成を促進する可能性があることを示した。ただし、その効果は、貿易を行う国の規模が異なる場合、規模に応じて及ぼす効果が異なることが明らかになった。また、こうしたスキル形成は、労働供給に影響を与え、賃金構造を変化させるが、こうした変化が実際に観察される動きとある程度整合的であることが分かった。
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