2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18730164
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
佐々木 勝 大阪大学, 大学院・経済学研究科, 助教授 (10340647)
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Keywords | 労働政策 / マッチング / 労働時間 / 労働市場 / 二極化 |
Research Abstract |
(1)二極化の理論 時短政策のおかげで雇用者の平均労働時間は減少傾向にある。しかし、労働時間分布でみると、週平均労働時間が60時間を越える労働者が増加する一方で、週35時間未満のパートタイム労働者も増加し、労働時間の二極化が顕著にみられる。現在、共著者の工藤助教授(北海道大学)と共に、労働時間の二極化の発生メカニズムについて理論面と実証面の両方から取り組んでいる。現在のところ、初稿が完成し(タイトル:Dispersion in Working Hours: Theory and Evidence)、すでに京都大学でのセミナーで報告した。今後、名古屋大学、東北大学、大阪府立大学などで報告し、更に精査する予定である。また、もう1つの共同研究論文である、Precautionary Labor Demands in a Search Modelは現在投稿中である。 (2)マッチングの実証分析 日本におけるマッチング・プロセスは本当にランダム・マッチングで特徴付けられているのか。それともそれ以外のメカニズムでマッチングが決まっているのだろうか。これはこれまで長年研究してきた分野の1つである。現在のところ、ある学術雑誌から改訂要求を受け、改訂中である。近日中に再提出する予定である。論文のタイトルは、The Role of Flows in the Japanese Labour Market with Matchingである。 (3)労災と労働安全衛生の実証分析 労災保険制度による企業の安全衛生に対する取り組みへの効果を理論的と実証的で分析する。一般的には、厚遇な労災保険制度があると、企業は安全衛生向上に務めない。しかし、労働市場に不完全性を取り入れることによって、労災保険給付率の上昇は留保賃金を低下させ、企業の利潤を増加させる。すると、企業は労働者が業務上負傷しないように安全衛生向上に努めるようになる。現在のところ利理論的枠組みはほぼ完成し、引き続き、実証研究に進む予定である。
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