2006 Fiscal Year Annual Research Report
企業特性の不均一性と貿易投資政策に関する理論的研究
Project/Area Number |
18730172
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
椋 寛 学習院大学, 経済学部, 助教授 (90365065)
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Keywords | 経済理論 / 経済政策 |
Research Abstract |
研究テーマである「企業特性の不均一性」には様々な側面があるが、本年度は主にサービス産業へのアクセスに関する国内企業と外国企業の不均一性に注目して研究を行った。自動車や電気機械等の製品が生産され消費者の手元に届くまでには、流通やアフターサービスの提供が必要不可決であるが、国外に商品を提供する場合には、必要なサービスを十分に現地で提供するためにはサービス部門の直接投資を行い現地にサービス拠点を設立する事が必要となる。しかし、サービス部門の直接投資には固定費がかかるため、代替手段として現地のライバル企業にサービスの提供を委託するケースが現実多く見られる。一橋大学の石川城太教授とニューサウスウェルズ大学の森田穂高教授と行った共同研究の結果、サービスが現地ライバル企業に委託されている場合は、貿易自由化は通常のケースとは逆に消費者の損失となり、国内企業の利益となる可能性が不完全競争モデルにより示された。この結果は貿易自由化が世界の厚生を改善するためには、サービス直接投資の自由化が必要条件であることを意味しており、WTOのGATS等におけるサービス貿易自由化の取り組みに対して大きな含意を有するものである。また、サービスが特に消費者向けの修理サービスである場合、貿易自由化により外国企業も損失を受ける可能性も示された。 本年度はさらに、多国籍企業の直接投資に関する政策に関して、オーストラリアやカナダへ出張し複数の研究者と「中間財価格の価格支配力と貿易自由化の関係」・「移転価格の設定方法」・「耐久財のレンタルサービス・リースサービスと貿易政策の関係」について議論を行い、来年度以降の研究の方向性を具体化させた。
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Research Products
(2 results)