2008 Fiscal Year Annual Research Report
知的財産取引の国際市場の構造と日本企業の戦略の実証分析
Project/Area Number |
18730175
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
武智 一貴 Hosei University, 経済学部, 准教授 (80386341)
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Keywords | Strategic Alliance / M&A / R&D |
Research Abstract |
本研究では、国際知的財産取引としてのライセンシング・アライアンス、及び技術集約的な産業に焦点を当て、いかなる要因で取引が行われているのか、技術集約的な産業での供給・投資活動がどういったパターンで行われているのかについて明らかにした。国際アライアンスの論文では、世界の医薬品市場に焦点を当て、日本の医薬品企業が、各国の市場に供給する際の参入戦略として、ライバルを通じた供給を行うケースに着目した。特に、技術アライアンスではなく、市場供給に関わるアライアンス行動に焦点を当てて分析を行った。市場供給のチャネルとして、自社供給とアライアンスという選択を、企業がいかなる要因に基づいて決定しているか実証的に明らかにした。推定結果から、知的財産保護が強い市場であり、範囲の経済が弱い企業はアライアンスを用い、範囲・規模の経済が強く、収益性が高い製品は自社での供給を行う点を明らかにし、アライアンスの要因分析に新しい知見を加えた。技術集約的な産業の供給パターンについては、車体製造(シャシーコンストラクター)に焦点をあて、企業の生存・供給と、技術や企業戦略の関係を明らかにした。また、少量生産であるため、中小企業行動の分析の研究とも関連している。中小企業の行動については、中小企業の業況判断と、設備投資の関係に焦点を当て、どういった心理的要因が設備投資といった実物経済に影響するかを明らかにした。そこでは、製造業においては長期的な業況の改善が投資には必要で、企業の借入に関する金融環境も重要であることが明らかになった。
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