2006 Fiscal Year Annual Research Report
東アジアにおける経済連関の深化と所得分配・経済厚生に関する理論・実証研究
Project/Area Number |
18730180
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
西山 博幸 兵庫県立大学, 経済学部, 助教授 (00309345)
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Keywords | 経済統合 / 所得格差 / 開放マクロ経済 / 海外直接投資 / フラグメンテーション / 経済厚生 |
Research Abstract |
本年度は、直接投資(以下FDI)受入れを軸とした経済発展を遂げた華南地域(特に珠江デルタ周辺)を訪問し、FDIおよび華南地域の経済状況、周辺部地域との経済格差の実態に関するデータ収集および聞き取り調査を行った。調査に際しては、Jinan University(広東省)経済学院および日本経済研究中心(センター)、JETRO広州スタッフの協力を得た。現地での収集資料と、助成金の一部により購入した中国の人口および各種経済に関する時系列データを用いて、中国の経済事情を把握する作業を行った。また、理論モデルの構築も行っている。地域統合というテーマの性質上、本研究では、複数の市場の存在を前提とした一般均衡モデルを用いるのが好ましい。それゆえ、財市場や労働市場、貨幣市場、債券市場などを含む新しい開放マクロ経済モデルをベースに分析を行っている。その第一段階として、西山(2007)「経済統合の進展によるマクロ経済および厚生への影響について」兵庫県立大学Discussion Paper No.7では、生産移管を導入した開放マクロモデルを提示し、企業の海外進出リスクの相対的低下が、外国への生産移管を促進させ、自国(外国)国民所得の減少(増加)、自国(外国)効用の減少(増加)を生じさせることを明らかにした。多国籍企業研究会西部部会(「サービスリンクコストの変化と経済厚生」2007年3月)では、近年の東アジア地域でよく観察される「国際フラグメンテーション(生産工程間の垂直的統合)」を導入した開放マクロモデルを提示し、サービスリンクコスト(SLC)の変化による経済厚生への影響に関する学会発表を行った。そして、外国SLCの相対的低下が、自国(外国)厚生を低め(高め)ること、地域全体の効用が改善されるかどうかは初期における両国の企業数(比率)に依存すること等を明らかにした。
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