2006 Fiscal Year Annual Research Report
年齢間所得格差を用いた家計消費行動と消費格差・リスクシェアリングの実証分析
Project/Area Number |
18730185
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
阿部 修人 一橋大学, 経済研究所, 助教授 (30323893)
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Keywords | 家計消費 / 予備的貯蓄 / 構造推定 / 日本経済 |
Research Abstract |
平成18年度は、家計経済研究所のパネルデータを用い、日本家計、特に50代までの家計所得過程の推計を行った。これまでの日本の先行研究で家計所得の動学過程を推計した論文は少なく、リピーティドクロスセクションを用いた分析があっただけであったが、本研究ではパネルデータを用いることで、先行研究では不可能であった能力や家計の個性のような家計固有効果を除去し、よりロバストな推計を行った。具体的にはAbowd and Card(1989)に従い、有配偶者家計の男性勤労所得および年間勤労時間の変化率の個票データを作成し、一段階目で子供の数などで回帰した残差を用い、共分散構造を用いて背後の動学過程の推計を行った。結果は、Abowd and Card(1989)によるアメリカの先行研究と同様に、家計所得変化率は三年を超えるとほとんど相関がないこと、年により分散が異なることがわかった。一方、所得分散はアメリカの1/3程度であり、かつ所得変動にしめる恒常的変動は1/3程度であることが判明した。以上の結果は阿部・稲倉(2007a)として「経済研究」に掲載されている。また、阿部・稲倉(2007b)では、同じデータを用い、さまざまな年齢プロファイルを作成し、アメリカと同様に消費はコブ型となり、労働時間は右下がりであることを示した。予備的貯蓄モデルを用いてこの二つの結果をつなぐ研究を現在遂行中である。 Abowd and Card(1989) On the Covariance Structure of Earnings and Hours Changes, Econometrica,57,2.411-455. 阿部修人・稲倉典子(2007a)家計所得過程の共分散構造分析 経済分析58,1.15-30. 阿部修人・稲倉典子(2007b)日本家計の消費・貯蓄・労働プロファイルUIDJE Working Paper7.
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