2007 Fiscal Year Annual Research Report
多汚染因子削減のための動学CGEモデルの作成と政策応用-中国を例として-
Project/Area Number |
18730188
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
黄 愛珍 Shizuoka University, 人文学部, 准教授 (00324319)
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Keywords | 中国の環境問題 / 環境政策 / 汚染因子 / CGEモデル / 政策シミュレーション |
Research Abstract |
本研究は、中国を対象とし、CGEモデルを用いてCO_2をはじめ多汚染物質削減の政策シミュレーション分析を行い、環境政策が中国経済・社会及び環境へもたらす直接・間接的効果を具体的な数値で評価し、中国にとって持続可能な発展のための対策は何かを探ることが研究目的である。 当該年度において、先行研究のサーベイを行い、中国の政策分析に適したCGEモデルの構築を試みた。そして実際の政策応用のためのデータベース(中国環境社会会計表・ESAM)の作成を行った。中国経済の取引状況、環境状況(汚染物の発生・処理・排出)及び排汚費の状況をひとつの表に中で系統的、包括的に記述することはCGEモデルの基礎データとしてだけでなく、中国の経済と環境の現状を理解するにも一定の意義がある。 政策シミュレーションにおいては、既存税制、クリーン税制、環境税の新規導入などいくつかのシナリオを設定し、各シナリオの比較分析を行った。ヨーロッパ諸国では、最初から高い環境税を導入している国はいくつもあるが、中国において現時点で高い環境税の導入は経済への影響が大きいだけでなく、実際の政策施行は受け入れ難く非現実的であるといえよう。中国の既存税制は環境にやさしいように設定されているとは言えない。新し環境税の導入の前に、まず環境にやさしい税制改革、つまりクリーン税制の検討・導入が、新しい増税がなくても環境に良い結果をもたらすことが可能である。 先行研究によると、環境税などの政策は貧困層ほどに大きな影響を与え、貧富格差の拡大につながるといわれている。環境と経済との関係だけではなく、貧困との関係も取り入れた分析を今後の課題としたい。
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