2006 Fiscal Year Annual Research Report
超低金利下の金融・財政政策の相互作用:最適政策ルールの視点からの理論・実証分析
Project/Area Number |
18730192
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
工藤 健 長崎大学, 経済学部, 講師 (70404316)
|
Keywords | 最適金融政策 / 財政政策ルール / ゼロ金利政策 / 経常収支の持続可能性 / 通貨の連動性 / 為替政策 |
Research Abstract |
岩村充氏,渡辺努氏との共著論文の"Monetary and Fiscal Policy in a Liquidity Trap : The Japanese Experience 1999-2004,"では,自然利子率の低下に対する最適反応を実行するための財政金融政策を特定化し、1999年以降の日本における政策決定と比較した。 その結果、第一に、現状の日本銀行の政策コミットメントは、最適政策ルールの鍵となる「歴史依存性」を欠いていること、第二に、利子率ギャップの期間構造から、日本銀行のコミットメントが将来の金融政策経路に関する市場の期待に十分な影響を及ぼしていないこと、第三に、1994年以降、財政赤字と政府債務残高との相関が弱まっており、ここから、財政当局の行動がリカーディアン型の財政政策ルールから乖離している可能性が指摘される。また、非リカーディアン型の財政政策の下で得られる公約解は、財政当局の行動を所与として、中央銀行がゼロ金利政策をより長く続けなければならないことが示唆される。申請者は第3節と第4節の分析を担当した。 小川英治氏との共同論文の"Asymmetric responses of East Asian currencies to the US dollar depreciation for reducing the US current account deficits"では、近い将来の米ドルの変動に対する東アジア通貨の反応について検討した。 その結果、米国の経常収支赤字を持続可能な水準にするために米ドルの大きな下落が必要であること、各国通貨の米ドルに対する連動性の相違から、米ドルの下落に対する各国通貨の反応は異なることが示された。また、中国が2005年7月に実施した通貨改革は、一部のアジア諸国の為替政策に影響をおよぼしたことも示された。申請者は、第1〜3節を担当した。
|
Research Products
(2 results)