2006 Fiscal Year Annual Research Report
地域産業振興の新展開に向けた政策分析・地域比較-雇用創出・人材育成の視点から-
Project/Area Number |
18730197
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Research Institution | The University of Shimane |
Principal Investigator |
松永 桂子 島根県立大学, 総合政策学部, 講師 (20405476)
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Keywords | 地域産業政策 / 産業振興 / 地方分権 / 中小企業 / 人材育成 |
Research Abstract |
地方分権化の流れの中で、地域産業政策においても、基礎自治体の責務が増し、産業振興の方向性を示した産業振興ビジョンや関連条例の制定が相次いでいる。その背景には、第1に、国による地域産業政策は、従来から「国土の均衡ある発展」が目標とされてきたが、近年では「国から地方へ」を基本的な考え方とする構造改革が進められてきたなかで、地域産業政策も自治体みずからによって提案し、展開することが推奨されてきたことによる。三位一体改革による地方交付税の減少で、国から地方へ流れる補助金は減少したが、どの政策を推進するかといった自治体の裁量は増し、「選択と集中」の政策が要求されている。第2には、市町村合併が契機となり、行政による産業支援の分野も「選択と集中」で絞り込む必要性が高まってきた。特に、行政内部で農林漁業支援と商工業支援が同じ担当セクションであることが多い地方では、どこに重きを置くのか、市町村合併を機に新たな選択に迫られている。 地域産業政策は自治体が主導しつつ、施策の「選択と集中」が求められるなかで、全国的な潮流を押さえておく必要がある。こうした問題意識から、「選択と集中」で模索する自治体が、今後、産業振興を進めていく上で、どのような工夫が必要なのかを考えるために、初年度はアンケート調査を行い、データ収集に努めた。 本科研費を活用し、2006年6月に「自治体産業振興に関するアンケート調査」を実施した。全国849自治体(47都道府県、東京23区、15政令指定都市、764市全部)を対象とした。市町村合併が一段落した後のこの時期を対象とし、政策の制定状況や予算や担当課人員の推移、産業振興の柱や問題点、起業件数などについて調査を実施した。回収件数が425件、回収率は50.1%を越えた。当初予想より回収率が高く、自治体の関心の高さが伺える。 分析結果は、日本中小企業学会全国大会(2006年9月30日〜10月1日、一橋大学)にて報告し、2007年6月には学会論集に査読論文として掲載予定である。また、本研究を要約したものは、『地域開発』2006年3月号に掲載された。第2年度は、アンケート結果を精査し、先進自治体のヒアリング調査等を行う予定にしている。
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