2007 Fiscal Year Annual Research Report
リスクシェアリング機能としての社会保障に関する研究
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18730198
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
宮里 尚三 Nihon University, 経済学部, 専任講師 (60399532)
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Keywords | 社会保障 / 世代間格差 / リスクシェアリング機能 / 企業年金 / 政府の規模 |
Research Abstract |
本年度も社会保障制度がもたらす負の側面である世代間格差と社会保障制度の正の側面であるリスクシェアリング機能についての分析を行った。 研究成果としてはまず「所得比例型年金の是非-スウェーデン方式との比較・検証」(『政府の大きさと社会保障制度』橘木俊詔編)に収められている。この研究では固有ショックによる賃金変動のリスクだけではく、社会保養制度で重要な長生きのリスクも考慮して分析を行っている。シミュレーション分析の結果、現行の基礎年金を完全な報酬比例型に変更した場合、変更後は資本と労働がともに増加するが、世代内の再分配的要素がなくなるため社会厚生は変更前より低くなる結果となった。また、「家計の資産選択としての企業年金」(『季刊家計経済研究』、第75号)では家計の資産選択の観点から企業年金について分析を行った。シミュレーション分析の結果から収益の変動リスクを考慮しても現行の確定給付型企業年金はやや過大な水準という結果が得られた。 その他に「国民の受益・負担と政府の大きさーアンケート調査の結果と計量分析」(『政府の大きさと社会保障制度』橘木俊詔編)ではアンケート調査を元に政府の最適な規模について検討を行った。さらに、社会保障制度を維持するために少子化対策ではなく移民という手段を用いた場合に、どのような効果があるかのシミュレーション分析を「Immigration Policy and Sustainability of Social Security in Japan」で行った。この研究は2007年8月の国際財政学会で口頭発表したものである。
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