2006 Fiscal Year Annual Research Report
開発途上国における最適な為替相場制度選択に通貨代替が及ぼす影響の実証的研究
Project/Area Number |
18730208
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
熊本 尚雄 福島大学, 経済経営学類, 助教授 (30375349)
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Keywords | 開発途上国 / 為替相場制度 / 通貨代替 / ラチェット効果 / 為替相場のボラティリティ |
Research Abstract |
本年度は開発途上国が安定的なマクロ経済政策を達成するためには、どのような為替相場制度が望ましいかを、通貨代替と為替相場のボラティリティの観点から分析した。 具体的な成果は以下の通りである。 1.通貨代替、およびラチェット効果の存在についての実証的分析 メキシコを対象に行った。分析ではミクロ経済学的基礎を持つ、通貨代替型money-in-the-utility-functionモデルに基づき推定式を導出した。また、推定にはARDLモデルを用いた。これは通貨代替には、マクロ経済が不安定な時には急速にその程度は増大するが、マクロ経済が安定化しても、短期的には自国通貨への回帰がみられず、その程度は徐々にしか低下せず、長期においてのみ安定的な関係に収束するというラチェット効果が存在するためである。分析の結果、メキシコの通貨代替にラチェット効果が存在していないことが明らかとなった。この原因としては、メキシコにおいて、国内通貨ペソに対する信認が十分に確立していないことが挙げられる。 2.為替相場のボラティリティが国際貿易に及ぼす影響についての実証的分析 韓国の実質輸出量、および外貨建て輸出財価格が、実質実効為替相場のボラティリティからどのような影響を受けているかの分析を行った。分析の結果、短期的にも長期的にも実質実効為替相場のボラティリティが実質輸出量には負の影響を、外貨建て輸出財価格には正の影響を与えていることが示された。これは、韓国における実質実効為替相場が不安定化することにより、韓国の貿易収支、しいては経常収支に負の影響を及ぼすことを意味するため、今後、旨韓国においては実質実効為替相場を安定化させる為替相場制度を採用する必要が生じてくると考えられる。
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Research Products
(2 results)