2007 Fiscal Year Annual Research Report
銀行間競争とリレーションシップ・バンキングに関する計量分析
Project/Area Number |
18730215
|
Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
小倉 義明 Hitotsubashi University, 経済研究所, 講師 (70423043)
|
Keywords | 金融仲介 / 銀行間競争 / リレーションシップバンキング / 中小企業金融 |
Research Abstract |
1日本金融名鑑等から収集したデータに基づき算出した各都道府県の融資市場の競争度と、各銀行・信用金庫の不良債権比率データを接続して統計分析を行ったところ、両者の間に正の相関があることがわかった。これは、融資競争が高い市場では、融資金利が低く、その分、経営者が経営努力の成果を自分自身で享受しやすいために,経営努力水準が向上し、不良債権化する可能性が低くなることを示した、Boyd and De Nicolo(2005)の理論と整合的な結果である。さらにコントロール変数を加えるなど、回帰分析に修正を加えた上で、結果を英文ディスカッションペーパーとしてまとめて、学術誌に投稿する予定である。 2平成18年度に本研究で示された競争度と情報生産の負の相関に関連して、平成19年度は、金融機関合併が金融機関の情報生産に与えるインパクトに関する実証研究を行った。この研究では、2005年に(独)経済産業研究所が企業向けに実施した「関西地域の企業金融に関する企業意識調査」で得られた個票データを用いた。回帰分析の結果、合併は金融機関の情報生産に負のインパクトがあることがわかった。また、金融機関の財務データなどを接続したデータから、合併に伴うリストラや、競争度の変動よりも、規模の拡大に伴う融資審査過程の複雑化がより大きなインパクトを持っていたことが示唆されている。これらの結果は、後述のRIETI Discussion Paper 07-E037にまとめられている。
|
Research Products
(3 results)