2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18730226
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
五百旗頭 真吾 Doshisha University, 商学部, 専任講師 (30411060)
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Keywords | 国際資本移動 / 経常収支調整 / 為替レート / 国際金融統合 / 為替レート・パススルー / 国際流動性資産 / 新しい開放マクロ経済学 / グローバル・インバランス |
Research Abstract |
【1】輸入物価への為替レート・パススルー低下が、名目為替相場と経常収支調整の関係に及ぼす影響の理論的整理 生産性ショックやマクロ経済ショックにより経常収支が変動する際に名目為替相場がどれだけ動くかは、「(a)輸出入の価格弾力性」と「(b)消費の異時点間代替弾力性」に依存する。この条件を「新しい開放マクロ経済モデル」を用いて、示すことができた。たとえば、(a)が小さく、消費が実質金利低下に対しわずかしか増加しない(すなわち(b)が小さい)場合、「輸入物価への為替レート・パススルー」が低下する結果、経常収支赤字の縮小に付随する名目為替レート減価は小幅に止まり得るのである。この点を、論文「パススルーの低下は為替レートの経常収支調整機能を弱めるのか」(『金融経済研究』,第25号,pp.34-54,2007年10月)にまとめ、公刊した。 【2】経常収支の反転が株価バブルとその崩壊によって引き起こされる可能性を示す動学的一般均衡モデルの提示 株価バブルは、経済主体が一国の平均的な生産性を過大評価することによって生じる。つまり、恒久的な生産性上昇ショックが起こったと人々が錯覚することで、バブルは発生する。従って、バブルは経常収支赤字を生む。逆にバブル崩壊は人々がその錯覚に気付くことなので、ある種の生産性低下ショックと理解できる。よって、バブル崩壊は経常収支黒字を生む。だがこの場合の経常収支変動は、生産性上昇・低下ショックが現実に起こった場合に比べて過大になる。なぜなら、バブル期には現実の生産量がそれほど増えていないにも関らず投資・消費が増加するため経常赤字が過大になり、バブル崩壊後はそれまでの過剰投資・過剰消費の付けを払う形で投資・消費が急減するため経常黒字が過大になるからである。現在、この点を論文にまとめている最中である。
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Research Products
(1 results)